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日本の産学官連携

~大学編~

本サイトでは,文献の書誌データを用いて大学の産学官連携活動を測定した結果を提示する。

具体的には、学会発表によって生まれる予稿集・会議録の書誌データから研究分野や著者の所属機関などを抽出し、産学官連携活動の実態を細かい粒度で測定することを試みたものである。

ここでいう「細かい粒度」とは、大学を通じた契約型の連携のみならず、契約によらない日常的・非契約型の連携活動も網羅的に捉えるということを指している。

link産学官連携のあゆみと共同研究/受託研究実績の推移
link学会発表件数と他機関との連携状況
link共著関係からみる産学官連携パターン
link地域との連携

予稿集・会議録について予稿集・会議録について説明文表示ボタン

本サイトでは予稿集・会議録記事を分析の情報源として使用している。

予稿集は前刷集や要旨集と呼ばれることもあり、学協会が中心となって開催する研究発表会や学術講演会などでの発表内容を事前に集めて発行する会議資料の1つである。
予稿集の記事は、「雑誌論文と並び頻繁に参考文献として掲げられることが多い」参1)が、その流通範囲は原則として会議参加者に限られる。また、予稿集記事が論文となる割合は42.8%参2)という報告もある。 つまり、予稿集はその分野の関係者でないと目に触れる機会が少ない資料であり、研究活動を統計的に把握するための情報源としてもこれまでほとんど利用されてこなかった。 しかし、研究成果はまず初めに学会等で発表され、その後学術雑誌で論文発表される参3)という流れが一般的であることから、予稿集記事は研究活動の実態を把握することのできる貴重な情報源である。

会議録は学会等での報告や発表を完全に収録した会議資料である。
会議録の記事は、学会等で発表し出席者の評価を受けるため、学会誌の学術論文と同程度の内容を持っていることが多い参4)が、予稿集同様、その流通範囲は基本的に会議参加者に限られる。

JSTではこれまで、1975年以降に発行された科学技術文献を広く収集しデータベースを作成してきた。 中でも学協会の学術会議開催に伴って発行される科学技術分野の予稿集や会議録は、日本の機関においてはJSTが積極的に収集し、記事レベルでのデータベース化を行っている。

  • 参1)豊田雄司. 特集:会議録・会議資料:会議予稿集の利用と流通の可能性. 情報の科学と技術. 1998, Vol.48, No.6, p.336-343.
  • 参2)池谷泉ほか. 我が国の学協会等による予稿集の発行状況について-調査結果報告-. 情報管理. 1986, Vol.29,No.10, p.855-861.
  • 参3)上田修一編. 情報学基本論文集I: 情報研究への道. 武者小路信和 [ほか] 訳. 勁草書房, 1989, vii,241p.
  • 参4)小原満穂. 情報の対象・ニーズの変化III-グレイリテラチャー-. 情報管理. 1990, Vol.33, No.4, p.349-359.

大学における産学官連携の意義は、主として 「(1) 研究者が自らと異なる目的意識、価値観に触れることにより、革新的な技術開発につながる独創的コンセプトが生まれる、(2) 社会的ニーズが刺激となって大学等から新しい研究の萌芽が生まれる、(3) 大学等の研究に民間の経営の発想が組み込まれて、研究開発の効率化や社会との連携が一層進展することが期待できる」参5) ということにある。
また、そのための方策として、

  • 産学連携の推進のための体制等の整備、
  • 大学等と企業との望ましい関係の構築、
  • 産学連携に係る諸制度の改善、
  • 研究成果の社会における有効活用、
  • 地域との連携・協力の推進について、諸施策の一層の改善・充実

参6)を図るための様々な施策や取組みが行われてきた。

その成果は、共同研究や受託研究の実施件数等の増加にも表れている参7)
しかしながら、近年では「これら件数の増加があれば産学官連携活動に一定の成果があるとみなす」という認識から、「さらに明快でアカウンタビリティのある基準値の設定が必要」参8)という認識へと変化してきている。
また、産学官連携活動に積極的に取り組んでいる大学研究者は一部に限られているという指摘もあり、その原因として産学官連携活動に対する評価の低さ(インセンティブの欠如)が挙げられている参9)
このような状況を鑑み、経済産業省と文部科学省はイノベーション創出の観点から産学連携組織(TLOや大学知財本部)の産学連携活動を測定するための「産学連携評価指標」参10)の開発を始めた。

分析対象とした大学

表に示す計39大学(国立大学37大学、私立大学2大学)を分析の対象とした。
表中の大学名をクリックすると、J-GLOBALにリンクし、各機関の詳細情報を確認することができる。
なお、同規模の大学をグループ化できるよう、国立大学の形式的類型および学術研究懇談会(RU11)注1)で区分している。

  • 注1)RU11とは、「研究及びこれを通じた高度な人材の育成に重点を置き、世界で激しい学術の競争を続けてきている大学(Research University)による国立私立の設置形態を超えたコンソーシアム」を指す。
類型 大学
総合・旧帝大 北海道大学 東北大学 東京大学 名古屋大学 京都大学 大阪大学 九州大学
総合・旧官大(文・理) 筑波大学 神戸大学 広島大学
総合・旧官大(医あり) 千葉大学 新潟大学 金沢大学 岡山大学 長崎大学 熊本大学
総合・新制大(医あり) 群馬大学 信州大学 富山大学 岐阜大学 島根大学 山口大学 香川大学 愛媛大学 佐賀大学 大分大学 鹿児島大学 琉球大学
複合・新制大(医なし) 宇都宮大学 埼玉大学 茨城大学 横浜国立大学 岩手大学 静岡大学 福島大学 和歌山大学
滋賀大学は、医科系・理工系の学部・大学院を有していないため、本分析では対象外とする
RU11 北海道大学 東北大学 東京大学 名古屋大学 京都大学 大阪大学 九州大学 筑波大学 東京工業大学 慶應義塾大学 早稲田大学

出典

2013年3月27日作成

2013年6月18日更新

J-GLOBAL foresight