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サイエンスフロント

サイエンスフロントは、高被引用度論文を対象に、共引用された論文のネットワークを可視化したもので、科学の専門領域をとらえることができる。

共引用とは、任意の2つのアイテムが他のアイテムに共に引用されることで、対象は様々である。対象が論文の場合、一つの論文において引用される二つの論文は、共に特定の研究テーマを議論する上で引用する場合、先行研究である場合、議論を展開する上で必要と考えられる場合等、研究テーマに密接に関連していると考えられる。

論文を対象に共引用分析を始めたのは、Henry Smallで、1973年にJournal of the American Society for Information Science 24(4):265-269に発表された"Co-citation in Scientific Literature-New Measure of Relationship between 2 documents"である。 Henry Smallは、共引用された論文のネットワークによって、科学の専門領域を捉えることが出来ると考えた。 また、共引用された論文、例えば論文Aと論文B、論文Bと論文C、・・・論文Zと論文Aというように二組の論文は、さらに論文Aと論文Cは論文Bを介してつながることになり、ネットワーク化することができる。 このようにネットワークにより生成された論文の塊をクラスターと呼び、テーマの類似性や概念の関連性が深い論文により形成され、科学の専門領域の研究を可能にするとHenry Smallは言及している。

また各クラスターの中で、最も大きいノードがコア論文と呼ばれ、その研究テーマにおいて核となる重要な概念や結果、方法論や実験手法として多くの研究者が注目している論文と考えられる。

サイエンスフロント図

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円(論文)や、連結している線(共引用関係)をクリックしてください。
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JSTサイエンスフロントの特徴

JST指標のサイエンスフロントは、一つのクラスターを構成する論文の数の多い順に上位6クラスターを選択した。 クラスターを構成している論文数が多いということは、多くの研究者の研究対象であり、被引用回数上位1%の論文であることから、注目度も高いと考えられる。 最も構成論文数が多いクラスターは、社会科学・一般の論文で70本で構成されたものである。

次に化学の論文で構成されたクラスターが2個続き、それぞれ59本と49本の論文で構成されている。

2007年の論文が71本、2008年が80本、2009年が79本、2010年が55本、2011年が21本の合計306本で構成されている。

分野別としては化学分野の論文が最も多く108本、社会科学・一般が70本、物理学が46本と続く。

このボタンupper buttonを押すと、上の図で対象部分が選択されます。
クラスター 解説
(A) selectButton 直接アリール化(アルキル化)反応:炭素-水素結合を直接活性化することによって、炭素-炭素結合への変換、鉄などの第一遷移金属触媒を用いる等、炭素ー炭素結合生成反応の一つであるクロスカップリング反応に関する研究領域である。
(B) selectButton キラル(光学活性)な触媒による不斉合成反応に関するクラスターである。 キラルなブレンステッド酸触媒、金触媒のカウンターオニオンとしてのキラル、キラルな有機分子触媒等を用いた反応についての論文で構成されている。 化学の論文49本で構成され、日本の研究者の論文が10本selectButton含まれている。
(C) selectButton 再生可能エネルギー教育に関するクラスターで、社会科学・一般の論文70本で構成されている。 70本中59本がトルコの研究者の論文selectButtonで、 総エネルギー生産量に対する再生可能エネルギー目標の割合を2023年までに30%とする目標値を設定しており、再生可能エネルギー教育の強化が伺える。
(D) selectButton 宇宙論におけるHorava-Lifshitz重力理論の応用に関するクラスターで、物理学の論文40本で構成されている。
(E) selectButton 人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)に関するクラスターである。 コア論文は、2012年ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授の"Induction of Pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factorsselectButton" である。 Cell発表された山中教授の論文と同じ日にScienceに出版されたUniversity of Wiscosin のThomson、JA 教授の"Induced pluripotent stem cell lines derived from human somatic cellsselectButton"が、次に被引用回数が多い。 この二つの論文が他の論文から共に引用される回数も非常に多く、1425回selectButtonでサイエンスフロント内で最も多い。
(F) selectButton クラスターを構成する論文48本のうち9本が東華大学のHe, Jhの論文selectButtonである。 非線形方程式の数値解法であるホモトピー法、変分反復法等の論文により構成されている。 このクラスターは物理学、数学、コンピュータサイエンス、工学分野で構成されている。 中国、イラン、トルコ、パキスタン、スペイン、マレーシア、ヨルダン、エジプトの研究者の論文で構成されている。

サイエンスフロントの導出方法について

出典

Thomson Reuters "Essential Science IndicatorsSM (2000-2010)"、"Essential Science IndicatorsSM (2001-2011)"、"Web of Science®"を基に、JST J-GLOBAL foresightにて情報事業が集計

(参考)ヒューマンフロント

上記、サイエンスフロントでは、論文をノードとしているが、この分野で活躍している研究者の集団を見つけるには、同じ著者の論文が分散しており見づらいという意見もある。そこで、試しに上記の(E)人工多能性細胞に関する論文の著者毎に共著関係でネットワークをつくり、被引用数をノードの大きさとしてまとめて見た。

具体的には、4つの研究グループが現れそれぞれの研究グループの中心研究者、あるいはつなぎの役目を担っている研究者がわかった。

詳しくは PDF(4.6MB) を参照

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