Roger Clarke氏(豪コンサルティング会社社長、客員教授)らが「知財の縛りを解く事例研究としてのジャーナルコンテントへのオープンアクセス」"Open Access to Journal Content as a Case Study in Unlocking IP"(PDF 25ページ)と題した論文を公表した。Unlocking IP会議(本年4月、ニュー・サウス・ウェールズ州開催)で発表したもの。
(Abstract試訳)
インターネットはコンテンツの普及・アクセス手段をもたらし、コンテンツはすぐに読めるという期待感を高めた。一方、著作権法の反消費者規定もあって、閉鎖的・専有的なやり方で長年栄えてきた既得の営利出版活動を脅かすこととなった。著者が論文をデポジットできる電子リポジトリの出現は、ePrintsやオープンアクセス(OA)運動を助長している。
ジャーナル発表査読論文のアクセシビリティは、知財(IP)活用を業務の拠り所としている会社の圧力を前に、開放性(openness)の達成度を図るリトマス試験である。査読論文の「IP解錠」要件仕様書を示しこれを適用したところ、大きな進歩があるという結論に達した。著作権の取り扱いでは、大半の出版社は、著者が論文のプレプリントを自分のウェブサイトやオープンリポジトリに載せることを認めている。著者にポストプリント(最終版の著者コピー)のデポジットを認めているケースも多い。
OA・ePrint・リポジトリ推進活動は、理論上は成功であるが、実際上は未だである。なぜなら、セルフデポジットされているのは査読論文のごく一部であり、大部分は営利出版社が管理する高額ジャーナル講読やジャーナルコレクションを通じてのみアクセス可能という状態が続いているから。査読論文のIP解錠は道半ばである。学会が一丸とならなければ、成果(gains)は営利出版社に攫われよう。
[ニュースソース]
Open Access to Journal Content as a Case Study in Unlocking IP - scripted 2009/8