論文発表プレッシャーが論文の質に及ぼす影響(論考紹介)

2010年04月26日

北米・中南米 ヨーロッパ

研究者への論文発表プレッシャーが論文の質に及ぼす影響について考察した"Do Pressures to Publish Increase Scientists' Bias? An Empirical Support from US States Data"が、4月21日、PLoS oneに掲載された。著者は英エディンバラ大学INNOGENISSTIのDaniele Fanelli氏。

(Abstract前半試訳)
アカデミアでは競争が激化し"publish or perish"という風土が育っているが、これは研究の客観性(objectivity)と健全性・完全性(integrity)と相容れぬものである。なぜなら、科学者は何としてもpublishable(発表に相応しい)結果を生むように強いられるからである。論文はネガティブなすなわち検証済仮定(tested hypothesis)を支持しない結果を報告すれば発表・引用される可能性が低くなる。従い、論文発表プレッシャーが科学バイアスを増大させると、競争的・生産的学術環境の下、論文ではポジティブな結果となる頻度が高くなる。本稿は、連絡先が米国となっている著者の論文を無作為に大量抽出してポジティブな結果の頻度を測定することにより、この仮説を立証する。一人当たりの学術論文数の多い米国(典拠はNSFデータ)に著者が在住する場合、全ての分野において、論文は検証済仮説を支持する傾向が強かった。

[ニュースソース]
How pressure to publish impacts research quality – CORDIS, 2010/4/22