脊椎分野で世界的に権威のある専門誌"The Spine Journal"(発行:北米脊椎学会、North American Spine Society、NASS)6月号が、企業がスポンサーとなった医学研究の公正さを質す特集を組んでいる。
「企業がスポンサーとなった研究論文は、それが査読論文であっても、有害事象、合併症などの副作用が全く/ほとんど報告されていない。その背景には、企業との資金的なつながりがある。企業から資金提供を受けていない研究では副作用は数多く報告されている。」としたもの。
具体的には、Medtronic社の"Infuse"(遺伝子組み換えヒト骨形成タンパク質"recombinant human bone morphogenetic protein-2、rhBMP-2"。骨補填材)を用いた臨床研究。同社がスポンサーとなった研究論文の多くは副作用に全く/ほとんど言及していないが、実際は炎症反応、癌、骨溶解、感染症、男性不妊症などが食品医薬品局(FDA)に報告されていたという。
同誌はMain Editorialに"A challenge to integrity in spine publications: years of living dangerously with the promotion of bone growth factors"(脊椎論文の公正さの課題:骨成長因子促進と共に長年危ない橋を渡る)(PDF6ページ)を載せ、警鐘を鳴らした。
THE CHRONICLE of Higher Educationは、「驚くべきことが起きた。Spine誌6月号が、企業がスポンサーとなったSpine(脊椎)研究に対しSpine(勇気)を見せた」と報じた。
[ニュースソース]
・The Spine Journal Calls for End to "Years of Living Dangerously" in Promotion of Bone Growth Factors - NASS 2011/6/28
・A Journal Shows Its Spine Against Industry-Sponsored Spine Research – THE CHRONICLE of Higher Education 2011/6/29
[関連記事]
Adverse Events Common With rhBMP-2 Device - medpage TODAY 2011/6/28
[関連情報]
日本医薬情報センター>海外安全性情報速報 JAPIC Pharma Report 海外医薬情報(速報)>No.643 2008年7月10日発行>ニュースダイジェスト>FDA/CDRH/Medical Device Safety/Public Health Notification(2008.7.1)