医学図書館協会誌(Journal of the Medical Library Association、JMLA)2011年7月号に"The impact of free access to the scientific literature:A review of recent research"(PDF10ページ)と題する論文が掲載された。
これは、オープンアクセス(OA)が先進・途上国の科学者(著者、読者、引用者として)の行動様式に及ぼす影響に関する最近の調査結果を批判的に精査し、さらに一般市民が生物医学文献をどの程度利用するのかも考察したもので、著者はCornell UniversityのPhilip M. Davis氏とMenlo College のWilliam H. Walters氏。
(Highlights試訳)
・科学分野の研究者は、学術文献へのアクセスを特別重要な問題とは思っていない。
・論文投稿先を決める際、著者はジャーナルの評判や出版料がタダであることを考慮する。無料アクセスかどうかは決定要因ではない。
(Implications試訳)
・OAは学術文献のauthorshipとreadershipを引き出す潜在力はあるが、まだ発揮されていない。
・科学者にOA誌での発表を勧める図書館員は、著者の優先事項と見方を承知しておくこと。科学分野の著者が重視するのは、引用インパクト、評判、専門家にとってのアクセスのし易さであり、読者層の規模、著作権、アクセス状況ではない。
・出版料を課す出版社は、別の収入源を考えるとよい。著者は出版料への抵抗があり、OAに参加する障壁となっている。
[ニュースソース]
The impact of free access to the scientific literature:A review of recent research – PubMed Central 2011