Wiley社発行の米国癌協会誌Cancerに"Conflict of interest in oncology publications"(腫瘍学出版における利害対立)と題する論文が掲載された。著者は、ハーバード大学医学部附属ブリガム婦人病院(Brigham and Women's Hospital)のAaron S. Kesselheim氏ら6名。
これは、生物医学研究における利害対立(研究者による製薬会社株式保有状況、講演料の授受など)の情報開示方針を、Thomson Institute for Scientific Informationのリストにある全ての腫瘍学ジャーナル113誌を対象に調査したもの。
(Resultsの一部試訳)
131誌中112誌(85%)には情報開示方針があり、うち99誌(88%)(平均Impact Factorは4.6)は著者に利害対立情報の開示を要求するも、残り13誌(平均IFは2.9)は要求せず。93誌は金銭的情報の開示を、42誌は非金銭的情報の開示を要求している。
REUTERSは、調査結果をKesselheim氏のコメントと共に次のように報じている。
●ジャーナルには共通した「利害対立」の定義はなく、著者、読者は混乱する。
●研究に金銭関係があると、論文は薬剤を奨励し、副作用を軽視しがちだ。
●研究に利害対立があるからといって成果の発表を禁ずるものではない。透明性・情報開示が重要。潜在的なバイアスに用心できる。
[ニュースソース]
・Conflict of interest in oncology publications – Wiley Online Library 2011/6/29 (論文へのリンクはこちら)
・Transparency rules a tangle at cancer journals– REUTERS 2011/7/22