英国:増え続ける科学論文を止めよ(記事紹介)

2014年08月20日

ヨーロッパ

Guardian誌8月5日付け記事"Stop the deluge of science research"を紹介する。著者はFigshare等を運営するDigital Science社マネージング・ディレクターTimo Hannay氏。

記事より抜粋:

科学論文が急速に増えていることは、発見の速度が加速している証拠として捕らえることもできるが、論文数があまりにも多すぎるため、研究成果の公開の仕方を根本的に見直す必要がある、という見方もできる。

最近公開された報告書"Growth rates of modern science:A bibliometric analysis based on the number of publications and cited references"によると、科学論文の被引用数の増加率は、18世紀半ば前は1%に満たなかったが、20世紀前半には2~3%に、そして現在は8~9%になっている。また自然科学分野における研究論文のうち、4分の1から3分の1は他者から引用されないとの報告もある。

このように論文が急速に増加するという事態は、深刻さを増している。著者払いのオープンアクセス(OA)出版の増加もその一因となっている。出版社に費用を支払うことなく論文を読めることは利点ではあるものの、できる限りたくさんの論文を出版させようとする出版社に商業的インセンティブを与えてしまうという不利益もある。

助成機関や研究者の雇用主はより重要な研究論文に絞って出版することを推奨する一方、すべての研究成果を共有できるようにすることを要求する。伝統的な論文の公開方法では、これらの要求を両方満たすのには大きな労力を要する。あまり重要でないものは簡単で、標準化された、コンピューターでインデックス化、検索、マージ、分析しやすい形式で公開する、といったデジタル時代にふさわしい方法を考えるべきである。FigshareZenodoDryadなどのデジタルデータ出版プラットフォームに解決のヒントがあるのではないか。

[ニュースソース]

Stop the deluge of science research - Guardian 2014/8/5