デジタル版ニュース記事の保存の問題を考察した論文"Missing links:the digital news preservation discontinuity(試訳:消えゆくデジタル版ニュース記事)"を紹介する。
抄録より抜粋:
インターネットの普及により、紙媒体によるニュース記事の配信を止め、オンラインでのみ配信する例が多く見られる。当該論文では、デジタル版と紙媒体の両方のニュース記事を配信する従来型の新聞社と、オンラインのみでニュース記事を配信する組織476社に対し、2014年4月24~5月21日に電話による調査を元に、北米におけるニュース記事のデジタル保存政策とその実態を考察した。
結論:
オンライン版のニュース記事のみを配信する新しいタイプの組織にはそもそも、記事を保存するという概念はなく、ニュースの作成に必要な範囲で保存する程度である。このような企業の業務はニュースを作成することであって、アナログであれ、デジタルであれ、ニュース記事の保存は議会図書館のような組織の役割りであると考えられている。デジタル版ニュース記事に関する政策がないのは米国だけではないにせよ、米国の政策はデンマーク、スウェーデン、フランスなどと比べ、大きく遅れをとっている。適切に保存されないことによりデジタル版ニュースがなくなるような事態になると、"preservation gap"が生じかねない。