科学論文の査読効果を評価(調査報告書)

2015年01月07日

北米・中南米

米国科学アカデミー紀要掲載の、科学論文の査読効果を評価する報告書" Measuring the effectiveness of scientific gatekeeping"を紹介する。

抄録より抜粋:

一流の医学ジャーナル3誌"Annals ofInternal Medicine"、"British Medical Journal"、"Lancet"に投稿された1,008本の論文について、査読状況と出版後の引用数とを調べ、その関係性を考察した。

拒絶された論文のうち、査読を経る前に出版社により拒絶された論文は、査読に値しないものと思われ、査読に送られたものと比べると引用数が少なかった。拒絶された論文と受理された論文とを比較したところ、査読スコアが低い論文は引用数も相対的に低かった。これら3誌以外で最終的に出版された808本の論文のうち、14本は上位2%に入る最もよく知られている論文であり、うち12本は査読前に出版社により拒絶されていた。

この結果から、査読は最もインパクトのあるアイデアや研究を認識するには不適当ではないかという疑問が浮かび上がった。査読は概して、論文に付加価値を与えるが、平均的な論文を増やしてしまう評価的戦略から、慣習に囚われない研究成果や、ずば抜けて優れた研究成果を拒絶してしまうリスクを増大させることが示唆された。

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Peer review - reviewed - ネイチャー 2014/12/22