助成申請審査がもし公開されたら?(記事紹介)

2015年01月15日

ヨーロッパ

1月8日付けネイチャー誌記事" What would happen if grant reviews were made public?(試訳:助成金審査がもし公開されたら?)"を紹介する。
当該記事は、PLOS Biologyに投稿された、Daniel Mietchen氏(Berlin's Museum of Natural History 進化生物学者)の記事"The Transformative Nature of Transparency in Research Funding(試訳:研究助成の透明性は変革をもたらす)"の中で、審査を通過した研究助成申請書とその審査はすべて公開すべきであるとしたコメントについて考察したもの。

Mietchen氏は次のように述べている。

「研究助成システムの透明性が高まれば科学そのものが変わる。申請後すぐに公開し、どのような申請書が審査を通過しなかったのかを見れば、自分の研究はどの程度なのかが分かる。また共同研究や、審査不通過の申請書を元に新たな研究の機会が生まれる。プロジェクト終了の数年後に審査に通過した論文を公開するだけでも、大きな前進である。」

同氏の記事は、助成申請審査の透明性に関し、世界27助成機関の申請書の公開状況を調査した、PLOS Biology掲載の報告書を受けて書かれた。この調査によると、助成申請審査を通過した申請書の抄録部分を公開している助成機関は18機関に留まり、最終評価を公開している機関はひとつもなかった。助成申請審査プロセスのルールは公開されているものの、研究の詳細は公開されていない。

英国ウェルカムトラストはすでに助成論文の概略を公開しているが申請者には未公開のアイデアやデータを機密とする権利があるため、提案書全体の公表を行う計画はないとしている。


[ニュースソース]

What would happen if grant reviews were made public? - Nature 2015/1/8