研究者は科学の社会への働き掛けに慎重な姿勢(記事紹介)

2015年02月25日

北米・中南米 ヨーロッパ

2月19日付ネイチャー誌記事" Scientists are cautious about public outreach(試訳:科学者は社会へのアウトリーチに慎重な姿勢)"を紹介する。この記事は、人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンクPew Research Centerが行った、米国の研究者4,000人を対象とした調査結果に関し、ツイッター上でやり取りされた研究者の意見を交え、記事としてまとめたもの。同調査結果は2月12-16日、米国カリフォルニア州サンノゼ市で開催されたAmerican Association for the Advancement of Science(AAAS)年次大会で発表された。

Pew Research Center社の調査によると、科学技術の政策をめぐる議論に積極的に参加すべきとした研究者は87%で、ちょうど半数は過去にメディアの取材に対応した経験がある。しかし52%はニュース記事での科学の扱いがあまりに単純化されていることは大きな問題であると感じており、また良い科学と信頼できない科学とを区別するメディアの能力に対し、重大な懸念を抱くものは79%に上った。

またソーシャル・メディアの使用にも慎重な姿勢を示しており、半分程度はソーシャル・メディアの使用経験があるものの、分野の専門家をフォローするために現在もソーシャル・メディアを使用しているものは12%、ツイッターやフェースブックは昇進にとって重要と答えたものは22%に過ぎない。

ツイッター上では、パブリック・コミュニケーションを動機付ける科学界の体制が必要との声がある一方、ニュースで取り上げられることは昇進にとって重要であるとするものは2009年の37%から2014年は43%と上昇し、特に50歳以下の若年層や女性ではその傾向が強いなど、パブリック・コミュニケーションを通じて自己の研究成果を広めようとする動きもある。