WHO、臨床試験の全面的開示を要請

2015年04月24日

ヨーロッパ

世界保健機構(WHO)は4月14日、臨床試験結果の全面的開示を要請する文書をPLOS Medicineに掲載した。ネイチャー誌4月16日付け記事“WHO calls for full disclosure of clinical trials”によると、ソーシャルメディア上ではこの要請を支持する意見が多数掲載されている。

WHOの文書では、臨床試験の開始前であっても、公式に登録することを要請している。研究終了から1年以内に、主な研究結果をパブリックレジストリーと査読ジャーナルで公開することを求め、開示が不十分な場合、情報が不十分なまま、研究助成、規制、公衆衛生に関する決定が下されると説明している。

世界医師会(World Medical Association、WMA)や米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration, FDA)など、多くの機関が臨床試験レジストリーでの成果報告を義務化あるいは要請しているが、今回のWHOの声明ではさらに、オープンアクセスによる公開あるいは臨床試験終了後24か月以内の公開、また過去の未報告の試験結果の公開を要請している。

British Medical Journal(BMJ)が2013年に行った調査では、585件の大規模臨床試験のうち、30万人が参加した171件の試験結果については、試験終了5年経過後もいまだ公開されていない。英国オックスフォード大学フェローBen Goldacre氏は定期的な監査の必要性を説き、今後の研究のためにデータを公表しない研究者が患者に接触することを認めるべきではないと述べる。

WHOがこの文書の中で認めるように、完全な開示を確保することはそう簡単ではない。コンプライアンスには動機付けと法制化が必要である。