中国のデータへのアクセスの実情を綴った、ネイチャー誌4月28日付け記事“China’s scientific progress hinges on access to data(試訳:中国の科学の進歩はデータへのアクセス次第)”を紹介する。著者は上海海事大学(SHANGHAI MARITIME UNIVERSITY)のZheng Wan氏。
中国の研究者にとって高品質の国内データへのアクセスは困難となっている。多くの公的データは政府が所有し、研究者は政府が独占的に所有する情報にアクセスするのは難しい。またデータが公開されていても、適切に収集されていないため質が悪い場合もある。自動車の販売台数1つとっても、台数を水増ししていたり、また研究機関が手を出せないほど高い価格でデータを入手するしかない。
データの所有権は学術界で競争力となる無形資産であり、中国の研究チームはデータを公開したがらない。ばらばらに散らばったデータセットを調達し、利用可能な形式に仕分ける作業量と費用は莫大である。このようなことに費用をかけるぐらいなら、研究論文の作成に使ったほうがよい。
またGoogle Scholarへのアクセスができないなど、信頼できる学術論文の検索もほぼ不可能に近い。研究者には、公的データと学術論文の検索エンジンへのアクセスをすぐに認めるべきである。