Publications誌掲載論文“Considering Non-Open Access Publication Charges in the “Total Cost of Publication” ”（試訳：「出版の総コスト」における論文掲載料以外の費用を考える）（pdf：15ページ）を紹介する。
抄録：
近年、ジャーナル購読費のコスト、オープンアクセス（OA）出版に支払う論文掲載料（APC）、OA義務化に対応するための間接コストを集計し、英国の学術セクターにおける「出版の総コスト」を計算する研究が行われている。本研究では、これら研究では無視されてきたが重要な要素である、研究機関により支払われる他の出版費用（大半はページ手数料とカラー手数料）を推定し、出版費用に加えた。これらの費用を出版の総コストに含む場合、2013／2014年時点の機関の総コストは、ジャーナル購読費以外にさらに約18.5%（APCから11%、間接コストから5.5%、他の出版費から2%）となる。英国の学術セクター全体に換算すると、1.8億ポンド（3,400億円相当）というジャーナルへの支出の控えめな見積もりに対し、APCを伴わない出版費は約360万ポンド（676億円相当）となり、出版の総コストは約2.13億ポンド（4,000億円相当）となる。学術領域にもよるが、これらのコストは個々の研究機関にとっては予想外に高いことが示された。出版社との今後の購読料の交渉に本データを使う可能性と、本データを広範に収集することの実現可能性とを議論する。