学術コミュニケーション助成のブラックボックスを開ける:学術出版の財務フローの公的データ基盤(論文紹介)

2015年11月30日

ヨーロッパ

Social Science Research Network誌掲載の"Opening the Black Box of Scholarly Communication Funding:A Public Data Infrastructure for Financial Flows in Academic Publishing"(試訳:学術コミュニケーション助成のブラックボックスを開ける:学術出版の財務フローの公的データ基盤)を紹介する。

抄録

公的助成研究へのパブリックアクセスは世界のオープンアクセス(OA)ムーブメントのスローガンとなっている。世界各国の政府や公的研究機関は、公的助成論文のパブリックアクセスを義務化した。出版社はアクセスを広げるための新しいモデルを実験している。しかし学術出版を裏打ちする財務フローは複雑で不透明である。本稿では、英国が国としてオープンアクセスに移行している中、英国におけるジャーナル出版の財務フローを追跡し、その実態を明らかにする。学術コミュニケーションの財務的透明性の欠如はエビデンスに基づいた政策決定の障害であり、研究者、意思決定者、研究機関には、新しい財務モデルの体系が見えていない。財務フローを結び付けた実態を把握することで、研究者、研究機関等は学術コミュニケーションを裏打ちする社会・技術的体系を理解し、変えることができる。