ネイチャー誌12月14日付け記事"‘Novel, amazing, innovative’:positive words on the rise in science papers"を紹介する。この記事は12月14日British Medical Journalに掲載された、オランダのUniversity Medical Center Utrecht の精神科医Christiaan Vinkers氏等による論文“Use of positive and negativewords in scientific PubMed abstracts between 1974 and 2014:retrospectiveanalysis”に関するもの。
1974年から2014年に公開された論文のタイトルと抄録を調べたところ、"novel"(いままでにない)、"amazing"(素晴らしい)、"innovative"(革新的)、"unprecedented"(前例のない)などの肯定的言葉の出現頻度が9倍増加している。"disappointing"(残念な)、"pessimistic"(悲観的)などの否定的言葉の出現頻度も、肯定的言葉ほどではないが増加している。
同氏等は論文の分析、シソーラスを調べて、PubMed収録論文の中の「肯定的」「否定的」な言葉を25ずつ 抽出した。肯定的な言葉のいずれかを含む論文数は1974-80年の平均2%から2014年には17.5%に、また否定的な言葉は1.3%から2.4%に増加していた。
この傾向は特に研究論文に見られ、書籍での変化は小さく、また「中立的」な言葉の出現頻度にも大きな変化は見られなかった。インパクトファクター上位20誌では、全ジャーナル平均に比較して、肯定的な言葉の増加は小さかった。また英語圏に属する著作者では、それ以外の国と比較して、この傾向は小さかった。
PubMedコーパスには特にこの傾向が見られた。生物医学、社会学、心理学では論文を執筆しなければならないというプレッシャーがあるのではないか、と同氏は指摘する。
[ニュースソース]
‘Novel, amazing, innovative’:positive words on the rise in science papers - ネイチャー 2015/12/14