デジタルバッジは研究者のデータ共有を促す(記事紹介)

2016年05月18日

ヨーロッパ

オープンデータとオープンマテリアルの2つのバッジは研究者のデータ共有に驚くべき効果があったとする、17か月間の実験結果を示す論文"Badges to Acknowledge Open Practices:A Simple, Low-Cost, Effective Method for Increasing Transparency"(試訳:オープンプラクティスを承認するバッジ:透明性を高める簡単で、安価な、効果的方法)がPLOS Biologyに掲載された。ネイチャー誌5月12日付け記事"Digital badges motivate scientists to share data"(試訳:デジタルバッジは研究者のデータ共有を促す)はこの論文を取り上げ、研究者にデータ共有を動機付ける要因を考察する。以下、記事より抜粋する。

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2014年、Psychological Science(心理科学)誌は、青あるいはオレンジ色のバッジを論文の上部に授与すると発表した。オレンジ色のバッジは資料、青色はデータの公開が可能であることを示す。アイコンを授与するPsychological Science誌と他の心理学4誌のデータの利用可能性について調査した。

バッジを授与する前のPsychological Science誌のデータの公開率は3%以下であったが、授与後は23%がデータを公開し、さらに2015年の上半期にはデータの公開率は39%まで増加した。他方それ以外の4誌の公開率は10%以下であった。

データや資料をオープンにすると示すことはオープンであることを保障するわけではない。Psychological Science誌は、データや資料をオープンにすることでバッジを得たいかを著作者に尋ねているにすぎない。しかしデータや資料の共有を尊重し、研究者が共有を行うことを評価すること、そして規範に従っていることを公に示す、ということが重要なのである。

Psychological Science誌以外の他の9誌もバッジを導入、あるいは今後導入を計画している。データを共有するという選択は、期待される行動規範に大きく影響される。そしてこのようなバッジはその期待を高めるのではないか。

 [ニュースソース]

Digital badges motivate scientists to share data - ネイチャー 2016/5/12

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