カナダ:神経学研究所、オープンサイエンスにおける急進的実験を実施へ(記事紹介)

2016年05月18日

北米・中南米

ネイチャー誌5月11日付け記事”Data Sharing:  Access allareas”を紹介する。この記事ではカナダ マギル大学モントリオール神経学研究所が導入を予定しているオープンサイエンスにおける急進的実験に関するもの。以下、記事より抜粋する。

カナダのマギル大学モントリオール神経学研究所および付属病院は今後5年間、オープンサイエンスにおける急進的実験を行おうとしている。研究から生じるすべての結果、データ、論文の無料のアクセスを要求する。またこれには共同研究者も含まれる。さらに驚くべきことに、どのような発見にも特許権を追求しないというものである。

実験の主な目的は、臨床過程が遅い神経科学分野での発見の速度を上げることである。

この方針は、機関の教職員との協議を通じて作成された5つの原則に基づき、2016年夏に施行される見込みである。

5つの原則:

・神経学の研究者は研究論文が公開される時までに研究に関する情報を公に利用可能とする。この要求は結果のいかんに関わらず、またモデル、アルゴリズム、試薬、ソフトウェアのすべての結果に適用する。

・新たな研究協力により生じるすべてのデータと資料は、組織の種類を問わず、同じルールを適用する。

・組織標本や脳のスキャンデータを含む機関のバイオバンクを利用できるようにする。

・機関は研究の発見に対するいかなる知的所有権の保護を追及しない。

・機関はこれらオープンサイエンスの原則を損なう活動を支援することなく、研究者の自主性を尊重する。実際には、研究者は研究に対する特許権を追求することはできるが、機関は書類作成に掛かるいかなる費用も支払わない。

この方針の作成に携わった、生物科学の知的所有権の使用を研究する、同大学のRichard Gold氏いわく、「機関は特許権の追及に無駄な時間を費やし、その多くはお金を生みださない。この方針により、研究機関はビジネスから撤退し、知識の発生に戻るのである」。