論文海賊版サイトSci-Hubの利用度調査に関するScience誌5月6日付け記事”Insurvey, most give thumbs-up to pirated papers”(試訳:Sci-Hubに賛成の声多数)を紹介する。Sci-Hubは価格障壁のない、研究論文と最新の研究情報への無料アクセスを提供する科学技術出版社。
この記事はSci-Hubの6か月間のダウンロードリクエスト2,800万件を分析するとともに、1万1,000人に対してSci-Hubへの態度をオンライン調査した結果をまとめたもの。
利用経験:
Sci-Hubの使用経験者:ほぼ60%で、そのうち4分の1は毎日あるいは毎週サイトを利用している。
Sci-Hubに対する意識:
Sci-Hubの利用に好意的なものは若年層だけではなく、Sci-Hubを利用したことのないものあるいは51歳以上の回答者も海賊版サイトの利用に抵抗を感じていない(それぞれ84%、79%)
利用者層:
開発途上国だけではなく、欧州や米国での利用率も高く、必ずしも、所属機関から論文にアクセスできないためにSci-Hubを使用しているわけではない。Sci-Hubを利用する理由として、ジャーナルアクセスがないから(50%)、便利だから(17%)、出版社が利益を受けることに反対だから(23%)となっている。
この結果は必ずしも、出版社を脅かすという証拠にはならないものの、エルゼビアはサイトの継続に抗議の意を示している。同社の海賊版サイトに起こした訴訟により、Sci-Hubのドメインの一つが削除されている。
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Who's downloading pirated papers? - Science 2016/4/28