欧州委員会(EC)競争力委員会(Competitiveness Council)は5月27日、2020年までに欧州の全科学論文の完全なオープンアクセス化を行うとの方針を打ち出したが、この方針に対し国際STM出版社協会(International Association of STM Publishers)は強い懸念を示している。以下、同協会の懸念点をまとめたSPARC 6月1日付け記事より抜粋する。
・ゴールドOAを重視する方向性が見られない。
・エンバーゴが許容される期間が明確に示されていない。
・即座のOAを強いることで、著作者はインパクトの高い(高価な)ジャーナルを避け、手頃なジャーナルを選択する動機を与えるのではないか。
・テキストデータマイニング(TDM)に関して、「公益研究組織(public interest research organisations)」という表現は非常に曖昧である。また「ビジネスとSME(中小規模事業者)」をスコープに入れていることで、現在うまく機能している商業的TDM市場の土台を崩す恐れがある。
・使用者の著作権保持への言及は、出版社が購読料モデルを運営し、著作者の代わりにその成果と高い評価を守るのに必要な権利と対立する。
国際STM出版社協会が発表した声明全文はこちら
[ニュースソース]
EU’s Bold Open Science Recommendations Strike a Nerve - SPARC 2016/6/1