2016年9月にスペインで開催予定の STI Conference 2016 (21st International Conference on Science and Technology Indicators)の受理論文(プレプリント版)、“Can We Use Altmetrics at the Institutional Level? A Case Study Analysing the Coverage by Research Areas of Four Spanish Universities”(試訳:オルトメトリクスは機関レベルで使えるか? スペインの大学4校の研究分野による指標使用の分析事例)(pdf:8ページ)を紹介する。
抄録
ソーシャルメディアに基づく指標であるオルトメトリクスは過去7年間注目を集めてきた。オルトメトリクスは、期待される学術的インパクトを測定する代替的測定方法とは言いがたい。
これまでの研究はオルトメトリクスの性質と引用データとの関係を理解することを中心に行われてきた。
オルトメトリクスデータに基づいて研究プロファイルを分析した論文は少ない。多くは研究者プロファイルと研究者の中でこれらツールの普及の程度に関するものである。本稿は、他のデータベースとの関係から大学の研究プロファイルを示すために、Altmetric.comデータベースの網羅性と使用可能性を調査することを目的とし、スペインの大学4校を分析した。
まず、Web of Scienceに収録される論文のうち “オルトメトリック”スコアを有するものは36%に過ぎず、網羅性が低いことが観察された。第2に、分析した4大学については、科学分野はその他の研究分野よりも“オルトメトリック”スコアが高いことが示された。最後に、機関レベルでのオルトメトリックデータの網羅性の低さを考えると、研究政策立案者は、研究者がソーシャルメディアを通じて研究知見を適切に流通させることを確かなものとするガイドラインとベストプラクティスを作成することが検討に値すると思われる。