College & Research Libraries (C&RL)誌に2017年5月掲載予定の論文“Scholarly Communication and the Dilemma of Collective Action: Why Academic Journals Cost Too Much”(試訳:学術コミュニケーションと集合行為のジレンマ:なぜ学術雑誌は高価なのか)(pdf:34ページ)を紹介する。
抄録
情報伝達コストを劇的に削減したインターネットの台頭と、学術図書館が学術雑誌へのアクセスのために支払う費用の過激な上昇は、なぜ同時に起きたのか?
本研究では図書館員が、経済学者マンサー・オルソンが『集合行為論―公共財と集団理論』で定義する集合行為のジレンマに陥っていると考える。真にこのコストを削減するには、図書館は学術コミュニティー全体として合同運用する学術リソースの共有オンラインコレクションを構築する必要があるが、個々の学術機関には、共有コレクションに投資しようというインセンティブが欠けている。
こうしてオンライン学術誌管理の大部分が出版社に外部委託され、出版社はインフレ率よりも速く購読費を上げる独占力を得るにいたったのである。オープンアクセス(OA)運動を上昇する購読費に対する最良の対応と考える図書館員は多いが、OA達成のために用いる現在の戦略は集合行為のジレンマにより弱体化している。本稿では最後に、いくつかの代替戦略を提案する。