欧州研究図書館協会(Association of European Research Libraries, LIBER)、欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(EBLIDA)、および国際図書館連盟(IFLA)は6月9日、欧州委員会(EU)が採択した2020年までの欧州の全科学論文の無料アクセス(小欄記事)方針に歓迎の意を表明する文書を公表した。
この文書では、オープンサイエンスはより健全で効率的な研究エコシステム、研究成果に対するインパクト、知識移転にとってよりよい環境をもたらすことは疑う余地がない、欧州の競争力を高めるだけでなく、データ駆動型イノベーションにおいて世界を主導することにもつながるとしている。
他方、以下の4点を取り上げ、この採択に対する国際STM出版社協会の反応(小欄記事)は否定的であるとして、遺憾の意を示している。
・国際STM出版社協会は世界の研究論文の80%は購読料モデルであるとしているが、グリーンオープンアクセス(OA)に代表される図書館の努力により、OAは50%超を達成している。
・ Open Library of the Humanitiesのような代替モデルもあり、即座のOAは財政的負担とはならない
・この採択は単なるOAへの移行ではなく、欧州の研究にオープンサイエンスの時代をもたらす
・テキストデータマイニング(TDM)の例外は、投資、イノベーション、雇用の支援に必要であり、出版社が過去にしがみつくのではなく、オープンサイエンスに向けて積極的に取り組むことに期待する。
[ニュースソース]
Be Open to Open Science: Stakeholders Should Prepare for the Future, not Cling to the Past - LIBER 2016/6/9