米国:モデル生物データベースの維持が困難に(記事紹介)

2016年06月27日

北米・中南米 ヨーロッパ

ネイチャー誌6月21日付け記事“Funding for model-organism databases in trouble(試訳:モデル生物データベースの維持が困難に)”を紹介する。この記事は米国立衛生研究所 (National Institutes of Health, NIH)が助成するモデル生物(model-organism)の5つのデータベースの予算削減・再編と研究コミュニティーの反論を取り上げたもの。

出芽酵母、ハエ、回虫、ゼブラフィッシュ、マウスの種の情報を収録するこれらデータベースは、遺伝子、タンパク質、遺伝子発現などに関するデータなど、モデル生物の遺伝子的特徴や生態に関する情報とともに、分析ツールを提供している。これらデータベースには今年度1,760万ドル(18億円相当)の予算が当てられているが、次年度以降30~40%予算が削減されるという。

これら削減対象のデータベースは、国立ヒトゲノム研究所(Human Genome Research Institute, NHGRI)単独の予算で助成されているが、NIH等他の機関から助成を受ける研究者からのアクセスもある。NHGRIは、5つのデータベースの管理を統合し、すべての情報を1つのインターフェースから抽出できるようにすることは利用者ニーズに合っているとする。

研究コミュニティーは、各データベースは各々の種について、研究者が一つひとつ文献を当たってキュレーションしており、長い間開発してきた各コミュニティーに対してデータベースの質、また特にの実用性を維持するため、統合の方法を注意深く検討する必要があると指摘する。

この指摘に対し、NHGRIは「コミュニティーのハブである各データベースのキュレーションの重要性は理解するが、バックエンド技術と管理機能を効率化することはできる。付加価値とコミュニティーの伝統を保存するよう努めたい」としている。

[ニュースソース]

Funding for model-organism databases in trouble - ネイチャー 2016/6/21