ArXivプレプリントサーバー、数百万ドル規模の全面的見直しを計画

2016年07月01日

北米・中南米

ネイチャー誌6月29日付け記事“ArXiv preprint server plans multimillion-dollar overhaul"(試訳:ArXivリプリントサーバーは数百万ドルの全面的見直しを計画)によると、物理学者、コンピューター科学者、数学者などの間で広く使用されているArXivプレプリントサーバーが数百万ドル(数億円相当)規模の全面的な見直しを行う計画であると報じている。

コーネル大学図書館が公開した利用者調査の結果から、現代科学の主要基盤となっているArXivへの大幅な変更に対し、研究者の慎重な姿勢が見られた。3万6,000の回答のうち、95%は満足しており、多少の近代化はよいが、今のままでよいのではと回答している。

ArXivの昨年度のダウンロード数は1億3,900万件、収録する論文数は110万本に上る。しかし、運営は図書館や慈善団体、150人あまりのボランティアモデレーターの善意により細々と維持されている。検索機能のマイナ-チェンジや研究論文へのリファレンスの直接ハイパーリンクを望む意見が多く、化学など新しい分野に拡大してはとの声もあった。

論文にコメントを付記するソーシャルフォーラムについては、3分の1はこのような機能はそれほど重要ではないと回答している。ソーシャルフォーラムに賛同するものでさえ、すべての人が無料でコメントできることは避けるべきであるとしている。

9月の諮問委員会で進捗のロードマップを作成し、必要な資金の獲得方法を検討する。すでにNSFなどとの話し合いが持たれ、出版社や学会に交渉する可能性もあるとしている。

[ニュースソース]

ArXiv preprint server plans multimillion-dollar overhaul - ネイチャー 2016/6/29