インパクトファクターは論文の被引用数を反映しない(記事紹介)

2016年07月12日

北米・中南米 ヨーロッパ

PLOS 7月5日付け記事“Measuring Up:impact Factors Do Not Reflect Article Citation Rates(試訳:インパクトファクターは論文の被引用数を反映しない)”を紹介する。著者はPLOS編集長Véronique Kiermer氏、モントリオール大学情報科学准教授 Vincent Larivière氏、PLOS アドボカシーディレクターCatriona MacCallum氏。

この記事は、論文の被引用分布を用いて、Journal Impact Factor (JIF)が個々の論文の影響度を適切に反映していないことを示し、JIFによらず成果を広く評価する取り組みを紹介している。

PLOS Biology等、IFが3未満から30以上におよぶ雑誌11誌を用いて、論文の被引用数分布を測定した。JIFに関係なく、被引用数と論文数の関係を示す分布パターンは似かよっていた。いずれも被引用数が少ない論文が多く、被引用数が多い論文が少なかった。

HEFCEの報告書The Metric Tide:report of the Independent Review of the Role of Metrics in Research Assessment and Management小欄記事)や Leiden Manifesto for research metrics小欄記事)で明確に説明されているように、研究成果の多様な効果を正確に反映する単一の指標はない。個々の研究者の論文、データ、ソフトウェア、研究プロジェクト、査読、学生への指導など数多くの貢献を記述し、クレジットを与える、粒度の細かい、頑強な方法が必要である。

この目的を達成するため、PLOS等はORCID IDの登録を求め、著作者の論文への貢献を評価するCRediT 分類を導入している。欧州委員会(EU)のScience Europeは、学際的研究の評価方法に関する報告書(pdf:28ページ)の中で、助成機関は論文だけでなく、一連の成果に基づいて評価すべきであると提言している。