学際的研究の助成金獲得には労苦を要す(記事紹介)

2016年07月12日

ヨーロッパ

ネイチャー誌6月29日付け記事“Interdisciplinary proposals struggle to get funded”(試訳:学際的研究の助成金獲得には労苦を要す)を紹介する。

キャンベラにあるオーストラリア国立大学の生物学者Lindell Bromham氏等は、2010~2014年にオーストラリア研究会議(ARC)ディスカバリープログラムに提出された1万8,000件もの提案書を分析し、学際的研究提案書の助成金獲得率を算出した。

各提案書の学際レベルを0~1の間で評価する指標「学際的距離」を作成し、ARCの提案書にある1,238の分野コードを用いて、学際レベルを評価した。助成を受けるにはPIはこれら分野コードのうち1つ以上を選択し、その比率を記入しなければならない。

その結果、学際レベルが高いほど、助成を受ける率が下がっていることが分かった。大学の助成獲得率と学際的提案書との相互関係は見られなかった。著作者等は明確な理由は不明としながらも、レビュープロセス自体が学際的プロジェクトにそぐわない、レビューアーは専門分野以外の提案書の価値を理解するのが難しい、これら提案書の質が単に低く平均的に説得力がない、などが考えられるとしている。

この結果について、モントリオール大学情報学者Vincent Larivière氏は、自己申告による分野の選択には注意が必要であり、引用文献を使用して精度を上げることも可能ではないかとコメントしている。また、イングランド高等教育資金会議(HEFCE)の報告書「2015年英国学際研究のレビュー」においても、分野をまたがる研究の引用は低いことが示されている。

[ニュースソース]

Interdisciplinary proposals struggle to get funded - ネイチャー 2016/6/29