経済危機後、初のギリシャ科学機関はめったにない喜びの源(記事紹介)

2016年07月25日

ヨーロッパ

Nature誌の7月15日付けの記事“First Greek science agency is rare source of joy for beleaguered researchers(試訳:経済危機後初のギリシャ科学機関は苦境に立つ研究者にとってめったにない喜びの源)”を紹介する。本記事では、経済危機後のギリシャに対する欧州投資銀行(EIB)の融資を取り上げている。

「ギリシャに研究機関を設立する政府支援計画」への投資銀行の巨額融資は、ギリシャの研究者にとって、6年前の累積債務危機以来の初めての希望の光となる。この研究機関はHellenic Foundation for Research and Innovation(HFRI)と称され、基礎研究提案の定期的募集、研究設備要請の充足、若手研究者への奨学金の授与を行う。

投資者であるEIBは、グリーンエネルギーと水安全保障プログラムなど、成長と雇用に貢献するプロジェクトに融資している。そのため、ギリシャへの研究支援の決定はいくらか驚きとなった。ギリシャの研究大臣であるCostas Fotakis氏は「最初はEIBが青空研究(注:David Bell氏は「明確なゴールを設定しない研究」と定義している)に投資するとは信じられなかった」と述べている。

経済危機後の卒業生や大学生がギリシャを離れる頭脳流出を止めるためにはHFRIは重要であるとEIBはいう。EIBは7月15日、1.8億ユーロ(210億円相当)の融資を承認した。ギリシャ政府はこの金額に6,000万ユーロ(70億円相当)を追加し、HFRIの最初の2年半を支援する。EIBはめったにプロジェクトコストの50%を超える貸付を行わないが、EU加盟28か国は全会一致で例外として承認した。

研究機関を設立する議会法案は現在議論中であるが、米国の米国立科学財団(NSF)とドイツ研究振興協会(DFG)に沿った方法で、直接的な政治的影響を受けずに運営することを提案している。

[ニュースソース]

First Greek science agency is rare source of joy for beleaguered researchers – Nature 2016/07/15