大学の特許取得は役に立たない;WIPOプログラムを見直すべき(記事紹介)

2016年07月25日

ヨーロッパ

Intellectual Property Watch誌7月19日付け記事"Patenting By Universities Unhelpful, Paper Says; WIPO Programme To Be Reviewed"(試訳:大学の特許取得は役に立たない;WIPOプログラムを見直すべき)を紹介する。

発展途上国を代表する政府間組織South Centreが7月18日に公開した報告書"Intellectual Property and Access to Science"(試訳:知的財産権と科学へのアクセス)は大学による特許取得は役に立たないと結論付けた。

報告書は、科学の発展のため、科学的知識へのアクセスと活用の重要性を明確に示し、科学的データの透明性とアクセス性はすべての分野において科学者の大きな関心であるが、「特に特許法における知的所有権の開発は、その性質上パブリックドメインに留まるべき科学的知識の処理につながっており、その普及とさらなる活用に悪影響を及ぼす」としている。

大学の特許政策は研究成果の保護と権利の実施により純受益を生むという期待感に誘因されているが、多くの場合この目的は達成されておらず、利益誘因は真の科学的探求に勝るという文化を作り出している可能性があると本報告書の著者Carlos Correa教授は指摘する。

世界知的所有権機関(WIPO)は2002年に大学の知的所有権と技術管理を支援する"WIPO University InitiativeProgram"を設立したが、発展途上国における大学の研究成果の流通と利活用に関するこのプログラムは見直すのが適当としている。

[ニュースソース]

Patenting By Universities Unhelpful, Paper Says; WIPO Programme To Be Reviewed – Intellectual Property Watch 2016/7/19