データ共有の手段としての雑誌論文:2領域の補足資料の内容分析(論文紹介) 

2016年07月26日

北米・中南米

Journal of Librarianship and Scholarly Communication誌に掲載された論文"The Journal Article as a Means to Share Data:A Content Analysis of Supplementary Materials from Two Disciplines"(試訳:データ共有の手段としての雑誌論文:2領域の補足資料の内容分析)を紹介する。

抄録:

(序論)

雑誌論文と共に補足資料を公開する慣行は、科学全体でますます普及してきている。これら資料の内容の理解を深めるため、地球科学と植物科学の著者が公開した補足資料の違いを調査した。

(方法)

2013年に出版された論文を雑誌30誌から4本ずつ抽出する層化任意抽出法により、さまざまな因子について合計297本の補足データファイルを検証した。

(結果)

使用したファイル形式(Wordドキュメント、Excelスプレッドシート、PDF)や小さなファイルサイズなど、2つの領域には多くの類似点が認められた。補足資料の内容については複数の違いがあった:地質学資料は地図と機械可読データを多く含んでいた:植物科学資料はかなりの数の表形式データとマルチメディアコンテンツを含んでいた。

(考察)

この結果から、これらの領域で補足ファイルによって共有されるデータは、再利用には適さないことが示唆された。コードと関連スクリプトが共有されないことも多く、「生」データに至っては共有も行われていない。その代わりに、人が読解し使用するために修正された要約データを含んでいることが多くあった。

(結論)これらの違いから、効果的なデータ共有の実現のためには出版社、図書館、著者の行動を変える必要があると思われる。

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