エルゼビア社買収後の社会科学・人文学リポジトリSSRNへの疑惑が浮上

2016年07月26日

北米・中南米 ヨーロッパ

Inside Higher ED誌記事"There Isn't Some Big Conspiracy Happening"(試訳:策略的意図はない)によると、社会科学・人文学のオープンアクセスリポジトリSSRN(Social Science Research Network)から論文が削除される事件が発生している。

オクラホマ大学Judge Haskell A. Holloman Professor、Stephen E. Henderson氏はSSRNに論文を投稿したところ、PDFファイルが削除され、以下のメッセージが確認された。

"It appears that you do not retain copyright to the paper, and the PDF has been removed from public view. Please provide us with the copyright holder's written permission to post. Alternatively, you may replace this version with a working paper or preprint version, if you so desire."(試訳:この論文の著作権を持っていないようなので、PDFは公開から除外されました。投稿するには著作権所有者の許可を示す書面を提出するか、あるいはworking paperまたはプレプリント版への差し替えをしてください)。

SSRNは5月にエルゼビア社によって買収され、著作権を持つ公開論文の扱いに対する懸念が研究者の中からあがっていた。(小欄記事

Henderson氏がこの件をブログPrawfsBlawgに投稿したところ、同様の事例がソーシャルメディアを通じ報告されたという。SSRN CEOのGregg Gordon氏は、「これらの事例は単なるミスであり、著作権方針の変更によるものではない」とのフォローアップ文書を7月25日に発信した。同氏によると、SSRNには55万7000以上の論文全文が収録されているが、20本が誤って公開されなかった。

SSRNユーザーの中には、研究成果の共有に、機関リポジトリを使うかあるいは新たなオンラインコミュニティーを模索する声も挙がっている。

[ニュースソース]

'There Isn't Some Big Conspiracy Happening' - Inside Higher ED 2016/7/19

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