英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department of Business, Energy & Industrial Strategy、BEIS)は7月28日、経済学者Nicholas Stern氏による研究インパクトの評価制度Research Excellence Framework(REF)に関する調査報告書(pdf:56ページ)を公開した。本報告書は、大学の研究機関への効果的な資金配分の方法を検証し、REFの今後の運用について提言を取りまとめたもの。
ネイチャー誌は7月28日、本報告書を解説する記事“Major review calls time on "gaming" in UK research assessment” (試訳:英国の研究評価のゲーム化に待ったをかける)を掲載している。
本報告書では、コストを削減し、システムのゲーム化を抑止するシステムへの変更を求めている。以下、主な提言。
・評価対象の大学に所属する以前に書いた論文を評価の対象としない。短期間に機関を移動する早期キャリアの研究者には問題になるとの指摘がある一方、大学側が研究者を雇う際に過去のキャリアのみに頼らず、若手研究者の育成を奨励することにつながる。
・監査プロセスに従わせるスタッフの選択が可能な現行のシステムに代えて、スタッフ全員を監査プロセスに従わせ、コスト削減につなげる。運営に費やしたコストは、2008年の6,600万ポンド(89億円相当)に対し、2014年REFでは2億4,600万ポンド(334億円相当)。
・パブリックとの関わりに対する研究者のインパクトを評価する。
・学際的研究、複数機関による研究を大学全体の評価に盛り込む。
英国政府はこれら提言を検討後、2016年後半にも2020年の時期REFの本格協議に入る予定である。
[ニュースソース]
Major review calls time on 'gaming' in UK research assessment - ネイチャー 2016/7/28