欧州委員会(EC)は9月14日、著作権に関する改革案を公表した。ネイチャー誌9月15日付け記事“Europeproposes copyright reform to help scientists mine research papers(試訳:欧州、研究論文のテキストマイニングを支援する著作権改革案を公開)”では、改革案について以下のように解説している。
ECの2014年報告書では、欧州の研究者は米国やアジアに比べてコンピューターによるクローリングをしないことが示唆された。テキストデータマイニング(TDM)を著作権の例外とすることが提案されているが、公益のために活動する大学や研究センターなどの研究組織と、読むための法的アクセス権を既に有しているコンテンツに限られる。また案は、商業的、非商業的研究の両方を対象としているが、一般企業には適用されず、出版社や他のコンテンツ提供者と権利について交渉する必要がある。
研究・科学・イノベーション担当委員長Carlos Moedas氏は次のように述べている。
「研究者が既存の知識基盤の掘り起こしを妨げる障害を取り除かなければならない。この著作権の例外案は研究者に、法的な影響を恐れることなく、研究を追及する自由を与えるだろう」
この案に対し欧州研究図書館協会(LIBER)や国際図書館連盟(IFLA)などは、法的混乱に対応した「大きな重要なステップ」であるとしつつも、新興企業が利益を享受できない点は残念であるとコメントしている。
提案では、出版社はデータベースや、コンテンツが保存されている場所のセキュリティーと公正性を確保する「合理的措置」を取る権利があるとしている。また研究機関は、出版社から法的許可を得る必要がなくなったとはいえ、TDMを行う者の著作物へのアクセス方法や処理について合意を得ることが望ましいともされている。
[ニュースソース]
Europeproposes copyright reform to help scientists mine research papers - ネイチャー 2016/9/15
[関連記事]
European Copyright Proposals: Librariesand Cultural Heritage Institutions Respond - IFLA 2016/9/14