PLOS One11月18日掲載の"Open-Access Mega-Journals:A Bibliometric Profile"(試訳:オープンアクセスメガジャーナルの計量書誌分析)を紹介する。著者は英シェフィールド大学情報学科Simon Wakeling氏ほか。
抄録
本稿では、オープンアクセスメガジャーナル(OAMJ)11誌の包括的計量書誌分析を示す。
OAMJは比較的最近の現象であり、主に次の4つの特徴を持つ。大規模、幅広い 学問分野、ゴールドOAビジネスモデル、研究の新規性や重要性の評価というより単に科学的健全性の判断を模索する査読方針。以下の4つの主な観点から分析を行った。ジャーナルの論文産出量(出版した論文数とその変化)、OAMJに投稿する著者の特徴(国籍と所属機関)、主題領域(OAMJの学問分野の範囲とサブとなる分野の論文数の変化)、被引用プロファイル(OAMJ各誌の被引用分布)。メガジャーナル11誌の論文総数は2014年から2015年に14.9%増加しているが、このような増加は科学的報告書と医学論文の増加によるところが大きい。また著者の地理的分布において相当の変化が見られた。ジャーナルのいくつかは中国人著者の比率が比較的高く、これらジャーナルのジャーナルインパクトファクター(JIF)の高さに関係している可能性がある。メガジャーナルは主題の範囲においても変化が見られ、あるサブ分野に偏って多くの論文を出版するジャーナルがいくつか見られた。著者らの被引用分析は、11誌の被引用率における相当の変化に注目しつつ、OAMJの被引用分布は伝統的ジャーナルと類似しているというBjörk氏とCatani氏の指摘を支持するものである。OAMJという定義は主な特徴を共有するジャーナルをグルーピングする手段としては有用であるが、「典型的」メガジャーナルというものは存在しない。学術コミュニケーションにおけるOAMJの現在と将来の役割を理解するためには、さらなる研究が必要ないくつかの領域があることが示唆される。