計算方法の再現性を高める(記事紹介)

2016年12月14日

北米・中南米

​サイエンス誌Vol. 354, Issue 6317掲載の記事"Enhancing reproducibility for computational methods"(試訳:計算方法の再現性を高める)を紹介する。記事の冒頭を要約した上で、記事内で強調された提言を紹介する。

過去20年にわたり、計算方法は研究者の能力を根本的に変えてきた。しかしこの進歩に伴い学術論文の非再現性、中でも計算方法の開示における透明性の欠如に対する懸念が生じている。現在の報告方法は、しばしば不均一、不完全であり、いまだ発展途上にある。筆者らは、計算に伴う開示の課題を対象とするReproducibility Enhancement Principles (試訳:再現性強化の原則、REP)を提示する。これらの提言は、透明性とオープン化促進のガイドライン(Transparency and Openness Promotion (TOP) guidelines)(小欄記事)とフィールドデータに対する提言(小欄記事)を基にしている。これら活動のいくつかは有望かもしれないが、計算研究における非再現性を認識し改善することが重要であると考える。

記事内で提示された提言は以下のとおり。

・データ、ソフトウェア、ワークフロー、公開された結果を生じさせた計算機環境の詳細を、オープンな信頼できるリポジトリで共有する

・永続的リンクを公開論文に示す。これには結果が依拠するデータ、コード、アーチファクトの永続識別子を含む

・デジタルの学術オブジェクトに対するクレジットを可能にするため、引用を標準的慣行にする

・再利用を容易にするため、デジタルの学術アーティファクトを適切に文書化する

・デジタルの学術オブジェクト公開時にオープンライセンスを使用する

・ジャーナルは出版プロセスの一環として再現性の確認を実施し、レベル2または3のTOP基準を制定する

・科学活動全体の再現性をより高めるため、助成機関は新たな研究プログラムやパイロット研究を推進する