インド:論文執筆の圧力により二流ジャーナルがブーム(記事紹介)

2017年02月10日

アジア・オセアニア

Times Higher Education2月6日付け記事"Pressure to publish in India drives junk journal boom"(試訳:インド:論文執筆の圧力により二流ジャーナルがブーム)を紹介する。

本記事は、Current Science 誌で発表された、調査報告書"India's scientific publication in predatory journals:need for regulating quality of Indian science and education"(試訳:「ハゲタカ」ジャーナルで出版されたインドの科学論文:インドの科学・教育の質を規制する必要性)(PDF:6ページ)に関するもの。

「ハゲタカ(金儲け)」ジャーナルで公開された論文の35%はインドから来ていると推測される。この数字は全世界の全学術論文に対するインドのシェア4.4%(エルゼビア社2016年調べ)をはるかに超えている。

いわゆる「えせ」ジャーナルへの論文投稿元の多くは一般に認められている大学ではなく、小規模の民間の研究機関あるいはガバメント・カレッジである。69%は「二番手」機関が投稿元で、州あるいはセントラル大学は11%、3%と少なかった。

本報告書の著者であるノルウェーのオスロ大学G.S. Seethapathy氏等は、Jeffrey Beall氏(コロラド大学デンバー校図書館員)の「ハゲタカ」出版社リストにある1,000誌に掲載されている、著者がインド人の論文を調査した。350誌に掲載されている3,300本の論文を評価したところ、51%は民間あるいは州大学系列のガバメントカレッジ、18%は私立大学あるいは民間の研究機関であった。

このようなジャーナルに投稿する理由を著者に尋ねたところ、論文を出版しなければならない「内在する圧力」があると回答した。インドの博士課程プログラムでは、博士論文審査前に1本から3本の論文を執筆しなければならないとされており、学生の90%は二流ジャーナルに投稿する理由としてこのことを挙げている。

インドは学術論文数では10位ながらも、論文あたりの平均引用数は166位と低い。研究機関と助成機関には、論文の質を高める仕組みづくりが求められている。

[ニュースソース]

Pressure to publish in India drives junk journal boom - THE 2017/2/6​

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