Scholarly Kitchen2月22日付け記事"Supply, Demand, and the Subscription Model in Scholarly Publishing — An Analysis"(試訳:学術出版における購読料モデルの供給と需要を分析)を紹介する。
2月1~3日に米国ワシントンDCで開催されたProfessional Scholarly Publishing (PSP)年次会合において、購読料モデルとその将来性について議論がなされた。全体として、ゴールドオープンアクセス(OA)ジャーナルは競合しているものの、一定のジャーナルでは購読料モデルが依然支持されている。購読料によるジャーナルの直面する「危機」は、価格の危機というよりはむしろファンディングの危機である、との意見で一致した。
本記事はKent Anderson氏が、自らがCEOを務めるRedLink社の2017年 Indexの利用統計からその根拠を考察したもの。以下、主な考察点。
- 機関の多くは利用数が安定あるいは増加していると見ており、購読料によるジャーナルがより多く利用されていると思われる
- コンソーシアムを介した利用数は25%程度しかない
- 学術コンテンツの多くは北米(49%)と欧州(26%)の読者からのアクセスである。 国立科学審議会(National Science Board, NSB)の Science and Engineering Indicators 2016 reportによると、北米のR&D支出は29%に過ぎず、需要と共有のバランスが取れていない。
- バックファイルが根強く、年数の経過とともに減少するものの、抄録が依然よく利用されている
- 購読にログインが必要なアーカイブコンテンツへのアクセス拒絶が依然高い
- 100利用当たりのアクセス拒絶数は出版社によって大きなばらつきがある
[ニュースソース]
Supply, Demand, and the Subscription Model in Scholarly Publishing — An Analysis - Scholarly Kitchen 2017/2/22