Nature Indexによると、日本の科学成果発表の水準は低下しており、ここ10年間で他の科学先進国に後れを取っていることが明らかとなった。
Nature Indexに収録されている高品質な科学論文に占める日本からの論文の割合は、2012年から2016年にかけて6%下落した。中国の急速な成長の影響により、米国などの科学先進国が占める割合は相対的に低下しているが、日本からの論文発表は絶対数も減少し、Nature Indexに収録されている高品質の自然科学系学術ジャーナルに掲載された日本の著者による論文数は、過去5年間で8.3%減少している。
Web of Science (WOS)とScopusのデータからも、世界のおよそ2万2,000の科学雑誌に掲載された論文の総数は、2005年から2015年の10年間で、世界全体では80%増加したのに対して、日本の増加は14%にとどまり、日本は世界全体の伸びを大幅に下回っている。特に、「材料科学」や「工学」の分野では、論文数が10%以上減少した。
その背景として、ドイツや中国、韓国などが研究開発への支出を増やすなか、日本は大学への交付金を減らしたため、短期雇用の研究者が大幅に増え、若い研究者が厳しい状況に直面していることなどを挙げている。
また、Clarivate Analytics社が3月22日に報じたところによると、日本の科学論文は減少しているものの、引用がトップ10%の日本の論文は過去10年間安定しており、トップ1%では25%増加している。過去10年間で論文数が3分の1に減少した免疫学においてもトップ1%論文は19%から26%と増加しており、日本はいまだ世界クラスの研究者を輩出し、特に多様な最先端領域においては最前線にいるとコメントしている。
[ニュースソース]
日本の科学研究はこの10年間で失速していて、科学界のエリートとしての地位が脅かされていることが、Nature Index 2017日本版から明らかに - ネイチャー 2017/3/23
[関連記事]
Despite Japan's stagnant science output during the past decade, citation impact at top end remains strong: Web of Science insight - Clarivate Analytics 2017/3/22
英科学雑誌 日本の科学研究の失速を指摘 - NHK 2017/3/23