LSE(London School of Economics and Political Science)に掲載された早期キャリア研究者(Early Career Researcher, ECR)の態度・行動調査を考察した記事"A system that prioritises publications means early career researchers' scholarly attitudes and behaviours remain conservative"(試訳:論文出版を重視するシステムは早期キャリア研究者の学術的態度・行動を頑なにする)を紹介する。
本記事は、Publishing Research Consortium(PRC)より委託を受け、CIBER Research社が実施している3年間の長期的調査の1年目の結果を考察したもの。調査報告書全文はこちらからダウンロードできる。
本調査は中国、フランス、マレーシア、ポーランド、スペイン、英国、米国の科学・社会学のECR116人(出版論文数1,200本)に対して、ECRの母国語により、スカイプ、電話を含む面接形式で行われた。
ECRの学術的態度・行動は依然保守的である。ECRは「冒険的」なオープン査読に対し不安を感じている。研究成果をリポジトリにアーカイブすることをあまり重視しておらず、またオープンサイエンスやオルトメトリクス指標に対する関心もない。ECRの多くは変化を好機と捉えているが、何にも増して論文数や引用スコアを奨励する評判システムに縛られているため、変化の機会を捉えられるとは感じていない。
オープンアクセス(OA)に関して、OAジャーナルに関した問題があることを認識している。OAは彼らにとっては大きな問題ではないものの、著者が支払う費用が高すぎ、払える者と払えない者がいることの不公平さを感じている。
オープンサイエンスについてはより多く語られたが、オープンサイエンスと学術を変化させる可能性のある技術に対し、あまり理解あるいは興味を示さなかった。概してECRはデータ共有にそれほど関心はない。
大多数はアイデアや中間データの共有を行っているが、共有は研究グループや内部会議、またローカルなネットワークの中で行われている。アイデアや中間データの共有は学術界で生き延びる方法の中核であるとしているが、ソーシャルメディアによる共有は行っていない。このこととは異なり、出版後の研究成果の共有は、ResearchGateなどのソーシャルメディアにより行うことが一般的となっている。
[ニュースソース]
A system that prioritises publications means early career researchers' scholarly attitudes and behaviours remain conservative - LSE 2017/5/9