国立大学図書館協会オープンアクセス委員会は5月26日、「オープンアクセスへの取り組み状況に関する実態調査」(pdf:121ページ)報告書を公開した。
本調査は国立大学図書館協会加盟館92機関を対象に、2016年12月25日~2017年1月20日に実施し、80機関から回答があった。主な結果は以下の通り。
- 機関リポジトリ:80 機関全てが機関リポジトリを構築(自力構築:56%、JAIRO Cloudの利用:22%。図書館業務システム:18%)
- コンテンツ登録状況:
- 海外の学術雑誌論文の登録件数0 の機関は35%。捕捉率はA(8学部以上)とC(2~4学部)は10.6%、10.33%。論文生産件数はA(8 学部以上)が圧倒的に多く、74%。なお、ゴールドOA件数の回答は概数が9機関、不明が4割前後と傾向を見るにとどまる。
- 国内の学術雑誌論文の登録件数ゼロの機関は 25%。捕捉率 は、10.0%〜14.8%。論文生産件数は、Aが多いが、2015 年では59%。
- 科学研究費研究成果報告書での捕捉率は、B(5〜7 学部)が 28%、Cが30%と高く、Aが17%、D(単科大学等)が 9%と低くなっている。
- 学位論文(博士)の公表: 回答機関(80 機関)のうち 98.6%が機関リポジトリを推奨。公開の状況においては、全文公表と要約公表を合わせると 87.1%が公表されている。
- ID管理:JaLC-DOIは40%が準会員で、正会員は1.2%。会員館のコンテンツへのDOI 付与は、48.5%が行っている。付与しているコンテンツは、「紀要論文」が最も多い(回答機関中100%)。 次に多いのは「学位論文」(50%)。
- オープンアクセス方針の策定:10%
- 研究データの保存・公開:「実施していない」が73%に上っており、取り組みを検討している機関は50%であるが、「図書館以外の部署で行っている」。
- オープンアクセスに関連する外部組織への関与:「オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)」への参画・ 支援は 69%、参加申請中および検討中を合わせると84%となる。一方、CLOCKSSへの参画・支援は48%に留まり、SCOAP3については 20%となっている。
[ニュースソース]
「オープンアクセスへの取り組み状況に関する実態調査」報告書(オープンアクセス委員会)(平成29.3)を公表しました。 - 国立大学図書館協会 2017/5/26