Digital Science Journal誌6月14日掲載論文"An Analysis of Federal Policy on Public Access to Scientific Research Data"(試訳:科学研究データへのパブリックアクセスに関する助成機関方針の分析)を紹介する。本稿は2013年に米国大統領府科学技術政策局(OSTP)が発したメモランダム"MEMORANDUM FOR THE HEADS OF EXECUTIVE DEPARTMENTS AND AGENCIES, SUBJECT:increasing Access to the Results of Federally Funded Scientific Research"への各機関の対応を比較分析したもの。
このメモランダムでは、公的助成研究成果へのパブリックアクセス拡大に全力を尽くすとして、研究開発費予算が年間1億ドル(111億円相当)を超える政府機関に対し、論文と科学データへのアクセス拡大計画を策定し6か月以内にOSTPへ提出することを命じた。
方法:19機関のパブリックアクセス計画について、データリポジトリ、データ管理計画(DMP)、保存、DOI等、特に研究データに関する15のテーマに基づき、計画の中で言及あるいは明確に検討されているかを比較分析した。
結果:全体として、各機関のパブリックアクセス計画では広範な方法が示されている。データ管理に関するロードマップと手順を十分に示す機関がある一方で、現在のところ、多くの機関はこのメモランダムで示唆される方法で助成研究データへのアクセスを提供できてはいない。
結論:19機関は広い意味でこの命令に対応し、15のテーマについて何らかの方法で言及している。このメモランダムへの対応として、研究提案書にDMPを含めることを要求することは計画の重要な要素であることに同意している。しかしこのメモランダムでは示唆されていない、例えば、歴史的データのデジタル化といった質問には、どの回答にも実施詳細が含まれず、明確な回答はなかった。今後、このメモランダムが助成研究プロジェクトに関するデータ管理についての助成機関の方針をどう形成していくのかを引き続き調査すべきである。