生物学の研究者の間ではプレプリントが普及し、生物学分野のプレプリントサーバーbioRxivの収録論文数は1万1,000本以上となった。自由な再配布・再利用を認める著者もいれば、制限的条件を付す者もいる。
ネイチャー誌6月16日付け記事"Biologists debate how to license preprints"(試訳:生物学者、プレプリントのライセンスの扱いを議論)では、普及するプレプリントのライセンスをどう扱うべきかを考察する。
bioRxivでは、投稿者はさまざまなライセンスから選択できるようになっている。bioRxiv統計によると、ライセンスを付さない、つまり無断複写・転載禁止を選択するものが29%にのぼった。他方、物理学分野のプレプリントサーバーarXivは論文の配布への非排他的権利をデフォルトとしており、テキストマイニングは論文の「フェアユース」であり、米国の著作権法に抵触しないという原則に立ち、自由なテキストマイニングを認めている。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)などは例えば、同誌のライセンス条件に合わないことを理由に、CCライセンスが付与されていないプレプリントから生じる論文のみを出版するとしているが、これは強制ではなく、実際にはCC-BYが付与された論文が出版されている。
生物学分野のプレプリント・セントラルサービスASAPbioは6月16日、研究者、法律の専門家、助成機関、出版社によるタスクフォースを立ち上げ、プレプリントのライセンスに対する研究者の態度を理解し、この問題を検討するとしている。
ASAPbioディレクターJessica Polka氏は、たとえ利益目的であっても、誰もが共有・改変できる寛容なライセンスを選択し、プレプリントの公益を最大にすべきだという。米国立衛生研究所(NIH)もまた、プレプリントのオープンアクセス(OA)を推奨している。
[ニュースソース]
Biologists debate how to license preprints - ネイチャー 2017/6/16
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