OAの状況:OA論文の普及と影響についての大規模分析(記事紹介)

2017年08月08日

北米・中南米 ヨーロッパ

論文のオープンアクセス(OA)の状況を調査した記事(プレプリント版)"The State of OA:A large-scale analysis of the prevalence and impact of Open Access articles"(試訳:OAの状況:OA論文の普及と影響についての大規模分析)(PDF:34ページ)を紹介する。以下、抄録より抜粋する。

本調査では、以下の3カテゴリーから各10万件の論文をサンプル抽出し、論文のOAの状況を調査した。

1)Crossref DOIを付与されたジャーナル論文

2)Web of Scienceに最近索引されたジャーナル論文

3)"Unpaywall"の利用者が閲覧した論文

*UnpaywallはoaDOIを利用して、合法的に無料公開されているオープンアクセス(OA)全文へのリンクを提供するオープンソースのブラウザの拡張機能である。oaDOI(小欄記事)は論文に付与される"doi.org/"を"oadoi.org/"に置き換えると、機関・主題リポジトリなどに収録されるオープンバージョンの論文にリダイレクトするツール。

学術論文の少なくとも28%はOA(1,900万件)であると推測される。ゴールド/ハイブリッド誌で特にOA論文が増加していることから、OA率は今後も伸びると思われる。Unpaywallユーザーは極めて高い頻度(閲覧した論文の47%)でOA論文に遭遇している。さらに、OA論文に遭遇する経路は、最も一般的なOAの仕組みであるゴールド、グリーン、あるいはハイブリッドではなく、出版社のWebサイトで無料閲覧できるが、明確なオープンライセンスを持たない「ブロンズ」である。