インターネット上の著作権を有する科学研究論文の盗用、不正な複製、流通を行ったとして、論文の無料アクセスを提供するSci-Hubに対して米国化学会(ACS)が起こした訴訟について、米バージニア州東部地区連邦地方裁判所は11月3日、Sci-Hubの運営者に対しACSへの480万ドルの支払いを命じる判決を下した。
また判決では、Sci-Hubに積極的に協力あるいは参加する者に対してリポジトリへのアクセス誘導を中止することを命じている。ACSはWebプロバイダー、検索エンジン、ドメインネームの登録機関などのインターネットサービスに対してSci-Hub、およびSci-Hub下でホストされるドメインへのリンクやアクセスのブロックを要求できることになる。
8月に公開された分析結果によると、Sci-Hubには全学術論文8,160万の69%、またACSが発行するジャーナルの98.8%が収録されていると推定されている。
ACSは「著作権法と出版業全体の勝利である」との声明を出しているが、Sci-Hubにはインターネットトラフィックを暗号化し、起源を区別するサーバーTorネットワークの利用者が入手できる別のアドレスも持っており、このようなアクセスのブロックはそう簡単ではないようである。
[ニュースソース]
Pirate paper website Sci-Hub dealt another blow by US courts - ネイチャー 2017/11/7
[関連記事]
Court demands that search engines and internet service providers block Sci-Hub - Science 2017/11/6
[小欄関連記事]