OCLCはこのたび、欧州の研究情報管理(RIM)における永久識別子を使用事例に関する調査報告書"Convenience and Compliance:case Studies on Persistent Identifiers in European Research Information Management"(試訳:利便性と適合性:欧州の研究情報管理における永久識別子の事例研究、PDF:60ページ)を公開した。
本調査はフィンランド、ドイツ、オランダの大学、国立図書館、共同情報通信技術(ICT)組織の実務者や関係者への半構造化インタビューを含む調査から、各機関におけるRIMの実践、グループ規模でのRIM活動とデータ集約を促進するための永続的識別子の役割を考察する。
主な結果
・CRIS(Current Research Information Systems: 最新研究情報システム)を採用し、使用する最大の推進要因は、外部報告要件である。
・オープンアクセスの義務化も研究成果と論文管理における優先事項として影響を与えつつある。
・調査対象機関のすべてにおいて、研究情報管理を実践する中心的な構成要素は、大学の図書目録(機関の学術成果を表す論文のメタデータ)の収集にある。
・機関は特に、戦略的計画の立案、研究活動の分析、特定のプログラムや共同研究に機関として参加していることを特定し、論文に限らず研究成果の幅広い収集や分析など内部での報告や意思決定支援活動を支援する情報を求めている。
・関係者はワークフローの効率の改善を求めており、永久識別子、特に人(著者または研究者)の識別子がワークフローを改善する可能性があると見ている。これら3か国では名前の曖昧性の除去と論文メタデータのハーベストの改善を支援する永久識別子の採用が進んでおり、ORCIDは事実上の標準になると広く認識されている。
・大学やICT組織は、組織識別子に関係する国際的な開発に興味を示しつつも、標準化された組織識別子をCRISシステムに統合する活動は見られなかった。
・CRISシステムがオープンアクセス活動の監視、追跡、報告に使用されるにつれて、論文管理とユーザー支援において、図書館は重要な提携者となっている。
[ニュースソース]
Convenience and Compliance:case Studies on Persistent Identifiers in European Research Information Management - OCLC 2017/12/7