英国大学協会(Universities UK)オープンアクセス(OA)調整グループによるOAへの移行を調査した報告書"Monitoring the transition to open access: December 2017"(小欄記事)について考察した記事"Adoption of open access is rising – but so too are its costs"(試訳:オープンアクセスの採用は増加、しかしコストも上昇)を紹介する。著者はシェフィールド大学Information Services Management教授 Stephen Pinfield氏とResearch Consulting創設者 Rob Johnson氏。
報告書では、OAの採用は利用とともに増加しており、よい結果が示されていると言える。特に、12か月後、OA公開論文が平均32%であるのに対し、英国論文は初めて50%を超えた。またOA論文は非OA論文よりも多く利用されつつある。平均で、OA論文は非OA論文の2~4倍ダウンロードされているという結果もある。英国はOA化において他国を先導する立場にあると言える。
しかしOA率の上昇と同時にコストも高騰している。サンプル10機関が支払った論文掲載料(APC)は2012年から2016年にかけて16%上昇し、消費者物価指数(CPI)は約5%上昇した。平均APCは1,969ポンド(30万円相当)であるのに対して、ハイブリット誌では平均2,095ポンド(32万円相当)で、その他のOA誌の平均1,640ポンド(25万円相当)よりもかなり高いままであった。2016年のAPC総数に占めるハイブリット誌の割合は70%である。
ハイブリット誌に対するAPC助成をどう扱うかは課題である。購読料との相殺取引を実施する出版社に限って承認するなどの条件を付すことも検討できる。
[ニュースソース]
Adoption of open access is rising – but so too are its costs – LSE 2018/1/22