ダブルブラインド査読を考察した論文"Uptake and outcome of manuscripts in Nature journals by review model and author characteristics"(試訳:ネイチャー誌におけるレビューモデルと著者特性による査読結果の違い)(プレプリント版、PDF:32ページ)を紹介する。以下抄録より抜粋する。
<背景>
学術論文の査読におけるレフェリーの暗黙のバイアスを防止する解決策として、ダブルブラインド査読が提案されている。 本研究では、ダブルブランド査読を選択した著者の特性を分析し、査読モデルによる査読結果の違いを考察する。
<方法>
2015年3月から2017年2月にネイチャー社が発行するジャーナルで投稿を受け付けた12万8,454件の原稿について、ダブルブラインド査読の選択と、ジャーナルの階層、性別、国、著者が所属する機関の知名度との関係を考察した。
<結果>
ダブルブラインド査読を選択した著者の割合は12%と少ないが、ジャーナルの階層とレビューモデルとの関連性が高かった。男女による査読モデルの差はなかったが、知名度が高くない機関はダブルブラインド査読を選択する傾向にあった。投稿数の高い上位10か国では、国とレビューモデルとの関連性が高かった。初回判定とレビュー後の結果のいずれにおいても、ダブルブラインドはシングルブラインドよりネガティブであった(すなわちリジェクトされやすかった)。結論として、投稿するジャーナルの知名度が上がると、著者はダブルブラインド査読を選択する傾向にある。またこのような著者は、知名度の高くない機関あるいは特定の国に所属している傾向にある。査読結果については、ダブルブラインドを選択した場合、思わしくない結果につながった。