ブダペストOA宣言(Budapest Open Access Initiative、 BOAI)から15年の経過を記念して実施された調査結果の報告書"BOAI 15 Survey Results"が、4月12日、公表された。OA(オープンアクセス)の進展状況およびOA普及の障害となっている要因を把握するためのオンライン調査で、60か国300人から回答を得た。
本報告書によると、OA普及において2つの課題(下記(1)参照)があるとし、OAコミュニティーにおける活動の最優先事項として、研究者らが成果をオープンに共有するためのインセンティブや報酬の整備、OA出版をサポートするための十分かつ持続可能なビジネスモデル構築の必要性を戦略に盛り込まなければならないと記している。
(1)OAの導入において、あなたもしくは所属機関が直面している課題とは何かという質問に対し、「成果をオープンに共有するための有意義なインセンティブや報酬が欠如している」(29.5%)、次いで「論文掲載料(APC)あるいはOA関連コストを捻出するための十分な資金がない」(28.3%)という回答が多かった(有効回答数:237)。
その他の主な調査結果は以下のとおりである。
・OAがいまだに直面している課題は何か?(有効回答数:243)
研究者のプレッシャーやインセンティブ:56%
パブリッシャーの権威や変化への抵抗:42%
ファンディング/APC:36%
ジャーナルの質:28% など
・OA運動にもっと積極的に取り組むべき主体は誰か?(有効回答数:157)
政府/政策立案者: 22.3%
市民/公衆:16.6%
学生:15.3%
企業/パブリッシャー:12.1% など
・所属分野/国あるいは個人的な研究や職務へのOAの価値は何か?(有効回答数:172)
研究の普及、あるいは研究へのアクセス: 43%
個人の経験:18.6%
研究の質:16.9%
コストの軽減:13.4% など
BOAI 15 Survey Results (pdf: 全10ページ、プレプリント)
[ニュースソース]
BOAI 15 Survey Report Released ― SPARC 2018/04/12
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