早期に助成金を獲得するか否かが、若手研究者の将来の助成金獲得やキャリアに影響を及ぼす可能性があると、Nature誌が4月23日付の記事で伝えている。
本記事で紹介している研究の対象は、オランダの若手研究者であるが、早期に助成金の獲得に成功したグループは、その後の8年間で2倍以上の助成金を得ており、さらに助成金を獲得した研究者らは、助成金を得られなかった者と比べると教授になる可能性が50%以上高いこともわかったという。
ボストン大学の経済学者Shulamit Kahn氏によると、早期の助成金獲得がその後の彼らのパブリケーションやインパクトについてはなんら影響を与えるものではないものの、以後の助成金獲得については、助成機関が資金配分の審査を行う際に、これまでの助成金獲得の経歴を考慮するためであると述べている。
アムステルダム自由大学の社会科学者であるPeter van den Besselaar氏は、この研究について、NWO(Netherland Organization for Scientific Research、オランダ科学研究機構)とERC(European Research Council、欧州研究評議会)の2つの助成機関しか対象にしていないため全体像を示すには至っていないと述べている。しかし、NWOのスポークスマンOlivier Morot氏は、NWOは早期の助成金獲得が将来の助成金獲得に及ぼす影響を把握しているが、その問題に対処するために何ができるのかを考えていきたいと述べた。
[ニュースソース]
Scientists' early grant success fuels further funding ― Nature 2018/04/23